梶原吉広 【ラグビー日本代表強化体制発表記者会見】

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2月1日、日本ラグビーフットボール協会は、「日本代表新ヘッドコーチ、強化体制に関する記者会見」を開催しました。2019年、日本で開催される第9回ラグビーワールドカップに向けての強化体制、強化ビジョンの発表でした。100名を超える報道陣が席を埋める注目の会見となったのだが、残念ながら、新しい情報は多くは無かった。ジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチが欠席するのだから、それ以外のスタッフの発表など、これまで出ていなかった情報がなければメディアも取り上げようがありません。会見後、もう少し情報を取ろうと残っている報道陣が多かったことは、情報の不十分さを物語っていました。

発表された内容に魅力がなかったわけではありません。強化にあたる「強化・技術委員会」の首脳陣は担当理事に土田雅人氏、ジェネラルマネージャー(GM)として岩渕健輔氏、男子15人制ディレクター・オブ・ラグビーには薫田真広氏、男女7人制ディレクターには本城和彦氏らの名前が発表されました。元日本代表選手、アシスタントコーチ、そしてサントリーを日本一に導いたこともある土田雅人理事は「2019年の日本大会ではベスト4を狙っていけるように、全力で臨む覚悟です」と意気込みを語りました。元日本代表選手であり、サントリーサンゴリアスを日本一に導いた監督、GMとしての経験、株式会社サントリーフーズの社長も務める経営手腕などを生かし、土田理事には日本代表強化への期待がかかりました。また、エディー・ショーンズヘッドコーチ体制では国際戦略、マッチメークなどで手腕を発揮した岩渕健輔GMが留任するのも頼もしいです。

土田理事はジョーンズヘッドコーチが残したものとして、「どんな相手にも勝とうとするマインドセット」、「周到な準備」、「規律とハードワーク」をあげ、「これらを継承して新たなチーム作りに取り組みます。2020年以降の成長を持続可能にするには、サンウルブズや国内リーグ、大学との連携、世界基準化も必要」と語った。男子15人制のディレクター・オブ・ラグビーに就任した薫田真広氏が、2019年大会で目標を達成するための責任者となり、新ヘッドコーチのジェイミー・ジョセフ氏と連絡を取り合いながら強化を図るという。土田理事は、こうも話しました。「サンウルブズの活動が始まったことで、日本代表の活動期間は、約120日から約50日に減ります。しかし、トップレベルの試合はスーパーラグビーの15試合、スコットランド代表戦2試合(6月)、ウェールズ代表戦(11月)の計18試合になります。過去は一番多いときでも5試合でした。レフリーの世界基準化も一緒におこない、日本代表が強くなれるように、オールジャパン体勢を整えていきます」

これらの情報に加えて、日本代表の新スタッフ、スコットランド戦までの強化スケジュール、選手選考の手順などが明らかになれば、なお良かったのだが、残念ながらそれはかないませんでした。ジョセフ新ヘッドコーチは、ニュージーランド協会との契約が残っており、今年のスーパーラグビーが終了するまではハイランダーズを率います。日本代表ヘッドコーチとしての指導は8月からだ。6月のスコットランド代表とのテストマッチで誰が指揮を執るのか。これは今回の記者会見でメディア、ファンがもっとも注目した点だったが、「調整中」という答えでした。準備不足でスコットランド代表と戦えば、結果は目に見えています。ファンの期待感も高まりません。スーパーラグビーと並行して行われる、アジア・ラグビー・チャンピオンシップ(※4月~5月、香港、韓国と対戦です。昨年まで、日本代表が参加)も、どのようなメンバー編成で臨むのか明確にされなかった。はっきりしたことを話せない登壇者も忸怩たる思いがあるように感じました。

せめて、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチに、ニュージーランドからテレビ電話などで生出演してもらうくらいの演出はほしかった。そして、6月にはジョセフヘッドコーチは不在でも、薫田ディレクターが代行監督を務め必勝を期す、というような協会としての意気込みが示されれば、メディアの反応は違ったものになります。ラグビーが注目を集めている今だからこそ、日本ラグビー協会がファンの期待に応え、ラグビーを盛り上げていこうとする姿勢を見せるべきです。昨年のラグビーワールドカップでの快挙は周到な準備の末に達成されました。今年はスーパーラグビー初参戦、オリンピック初出場、日本代表テストマッチシリーズと大きなイベントが続きます。スピード感は大事だが、ラグビーへの関心が高まっていくよう、情報発信にも周到な準備をしてほしです。

このような記者会見でしたが、日本ラクビーのこれからを応援をしていきましょう!

梶原吉広 【トップリーグオールスター FOR ALL チャリティーマッチ2016】

今季よりスーパーラグビーに参戦するサンウルブズの初陣が2月13日に迫りました。対戦相手はトップリーグXV(フィフティーン)です。豊田スタジアム(愛知)で行われる「トップリーグオールスター『FOR ALL チャリティーマッチ2016』 は、午後2時キックオフです。これまで、トップリーグのチャリティーマッチは、オールスターを2チーム編成してエキシビションマッチとして行われてきた。しかし、今回は世界最高峰のプロリーグに参戦するサンウルブズを、トップリーグを挙げて後押ししようと各チームも全面バックアップしてます。東芝ブレイブルーパスの冨岡鉄平監督が選出したメンバーは引退を表明した元日本代表CTB大西将太郎、昨年のワールドカップメンバーでもある廣瀬俊朗らのベテランに、トップリーグ新人賞の小瀧尚弘(東芝)、NTTコミュニケーションズのルーキー石橋拓也ら将来期待の若手も多く、どんなチャレンジを見せてくれるのか楽しみは尽きません。

指揮を執る冨岡監督は、東芝の黄金時代を築いたカリスマ・キャプテンでもあります。決して勝負を捨てない戦いでファンを感動させてきました。今回も気合が入ります。「各チームのご理解とご協力もあり、実力重視の勝てるメンバーをそろえることができました。サンウルブズを送り出すのにふさわしい引き締まった勝負を一人でも多くの方に見ていただけたらと思います」対するサンウルブズを率いるのは、元ニュージーランド代表オールブラックスのHOマーク・ハメット。スーパーラグビーの常勝軍団クルセイダーズでプレーし、アシスタントコーチ時代も含めれば7度の優勝にすべてかかわってきました。ウェリントンを本拠地としたハリケーンズでのヘッドコーチ経験もあり、スーパーラグビーの戦い方は熟知しています。「今年は経験を積むシーズン、チームの土台を築きたい」と、今季はシンプルな戦術で粘り強いチームカルチャーを築こうとしています。指揮官の人選が遅れたこともあって準備不足は否めないが、国内シーズン終了後の2月3日にメンバーが集合しています。メディカルチェックの後、トヨタスポーツセンター(愛知県豊田市)で急ピッチのチーム作りを行っている。戦い方はシンプルになりそうですが、昨年までの日本代表同様、SH(9番)、SO(10番)の周辺に複数の選手が走り込んで素早くボールを動かし、さらにワイドにボールを動かす見込みです。

キャプテンは、パナソニックの堀江翔太です。昨秋のワールドカップ後は世界中のクラブからオファーが届き、現在の日本人選手の中で世界的評価の最も高い選手だ。「1人では決してできない事もありますし、チーム全員で助け合いながら、まとめていければと思います。ディフェンスがカギとなってくると考えているので意識して取り組んでいきたいです」。昨夏にスーパーラグビーに参加する選手の契約が進まず、参戦が立ち消えになる危機がありました。そのとき、「俺、やるよ。みんな頑張ろう」といち早くサンウルブズへの参加を決意したのが堀江でした。「子供達やファンの人達をがっかりさせたくない」。その思いが仲間たちの心に火をつけました。キャプテン就任は当然のことかもしれません。

本稿執筆時点で13日のメンバー編成は未定だが、PR稲垣啓太、HO堀江翔太、LO大野均、SH日和佐篤ら昨年のワールドカップメンバー、そしてPR垣永真之介、SH矢富勇毅らバックアップメンバーが中心によると予想されます。サモア代表でもあるSOトゥシ・ピシ(サントリー)、昨季はオーストラリアのレッズに所属していたFLエドワード・カークらスーパーラグビーでのプレー経験豊富な選手がサンウルブズの中でどう機能していくのか。どのようにトライを取り、どのようにトライを防いでいくのか。サンウルブズの方向性がある程度分かる戦い方が期待されます。そして、観戦する皆さんには、日本ラグビーを盛り上げていこうとする選手達の熱い心と渾身のプレーを存分に楽しみましょう!!

梶原吉広がスーパーラクビー(五郎丸)語る

クイーンズランド・レッズ(以下レッズ)のFB(フルバック)五郎丸歩(ヤマハ発動機ジュビロ)が、練習試合でいよいよデビューを果たします。2月12日(金)、レッズは旧ホームスタジアムであるブリスベンのバリモア・スタジアムで、オーストラリアの強豪の一つ、ブランビーズとの練習試合を行う。五郎丸は、その試合にリザーブメンバーとして名を連ねました。

オーストラリアに渡ったばかりの五郎丸。8日にはかつて、インブランドのサラセンズをエディー・ジョーンズ前日本代表HC(ヘッドコーチ)とともに指導した経験のある、リチャード・グレアムHCとともに会見を行って、早速初練習に参加しました。

グレアムHCは五郎丸に対する評価を聞かれて「(13人制のスター選手だったカーマイケル・ハントとともに)FBにワールドクラスの選手が2人いることはすごく良いことです。ハントは先週の練習試合ですごく良いプレーをしました。2人とも楽しみです」とFBのポジションで競わせることを明言しました。

一方でグレアムHCは、「昨年のレッズのプレースキックの成功率は60%より低かったので、五郎丸はおそらく80~90%くらいの成功率で蹴ってくれます。レッズは昨年、7点差以内で負けた試合が多かったので期待している」とやはり、五郎丸の「スーパーブーツ」への期待は大きいです。五郎丸自身は「キックの飛距離はレッズの中では、トップクラスだと思います。長い飛距離でチームを(前に出して)楽にしたい」と抱負を述べました。

会見時、指揮官は12日の試合に出すかどうかは「練習を見てから決める」と発言していました。しかし、リザーブだがメンバー入りを果たしたのは、練習から十分なパフォーマンスを見せたからだろう。五郎丸はワールドカップ後も、トップリーグを戦ってきたためコンディションの面では問題ないです。

レッズの先発には五郎丸のライバルのハントだけでなく、オーストラリア代表PR(プロップ)グレッグ・ホームズ、LO(ロック)ロブ・シモンズ、天理大学のジョシュア・ケレビの弟であるCTB(センター)サムらが入りました。なお、昨年からレッズでプレーしている、同じく日本代表FL(フランカー)のツイ ヘンドリック(サントリー)もベンチ入りしました。

先週の2月6日の練習試合では、ニュージーランドの強豪クルセイダーズに3-31で敗れたレッズ。今週は優勝2回の国内のライバルであるブランビーズの対戦となります。ブランビーズは練習試合とは言え、ほぼベストメンバーで、オーストラリア代表がずらり。

代表でも主将だったHO(フッカー)スティーブン・モアを筆頭に、釜石でもプレーしていたFLスコット・ファーディー、ジャッカルの名手FLデービッド・ポーコック、CTBテビタ・クインドラニ、WTB(ウィング)ヘンリー・スパイトが先発します。

五郎丸の出場は途中からでグレアムHCは、「20~30分程度」と語っている。現地では「五郎丸が活躍すれば、ハントがCTBとして起用される可能性があるかもしれない」との報道もあります。

五郎丸が練習試合とは言え、デビュー戦からいきなり指揮官の信頼を得るような活躍をして、開幕スタメンをアピールできるのか。レッズvs.ブランビーズの練習試合は2月12日(金)19時30分(日本時間18時30分)にキックオフされます。

梶原吉広がサンウルブズの記事をまとめてみました 2

サンウルブズの先発は、FWは代表選手を中心にメンバーを固めた印象が強い。スクラムもFWの前5人は「エディー・ジャパン」経験者が4人いて、もう1人のボンドも日本でのプレー経験があるのでコミュニケーションは問題ないはずです。また、FLには7人制アメリカ代表でも活躍したデュルタロがおり、全体としては機動力に長けたメンバーとなりました。

BKはハーフ団の2人はアタックに長けた選手であり、他のメンバーはフィルヨーンを中心に判断に優れて、キックが蹴れるメンバー揃いました。まずは、しっかりと敵陣で戦いたい意図が伝わってきます。控えメンバーは、PR三上正貴、LO真壁伸弥、7人制日本代表から合流したWTB山田章仁とエディー・ジャパンの主力が控えており、要所で登場すると見られました。

サンウルブズには、2月11日までに新たに3名の選手が合流した。エディー・ジャパンで研鑽を積んできた身長197cmのLO宇佐美和彦、昨年はニュージーランドのITMカップでオークランド代表としても大活躍したSH茂野海人、そしてケガ人が多く心配されていたHOのポジションには森太志が加わり、早速この試合でもベンチに入りました。

一方のトップリーグXVも、今年はお祭りムードではなく真剣勝負の姿勢です。東芝の冨岡鉄平監督が、比較的若い選手を中心に、ベテランをミックスして“本気モード”の選考をしたと言えます。先発のFW第1列はPR金井健雄(サントリー)、PR浅原拓真、HO湯原祐希(ともに東芝)で固めました。FLにはトップリーグで大活躍した山本紘史(東芝)、金正奎(NTTコミュニケーションズ)の2人がスターターとなりました。

BKはキャプテンでもある日本代表SO廣瀬俊朗(東芝)を筆頭に、ルーキーとして大活躍したCTB石橋拓也(NTTコミュニケーションズ)、今季のトライ王に輝いたWTB江見翔太(サントリー)らがおりトップリーグで活躍した選手を中心のメンバー構成です。「最高の若いメンバーが集まりました。サンウルブズを倒します」(FL金)と、選手たちも「本気モード」です。

控えメンバーを見ても、その傾向は変わりません。PRホラニ龍シオアペラトゥー(パナソニック)、今年のトップリーグ新人賞を受賞したLO小瀧尚弘(東芝)、元日本代表主将のLO菊谷崇、サンウルブズ江見とともに、今季トライ王のFL安藤泰洋(トヨタ自動車)、WTB伊東力(ヤマハ発動機)など実力者が揃いました。なお、先月引退したばかりの元日本代表CTB大西将太郞(豊田自動織機)も、「この試合が正真正銘の引退試合になります!」と気合い十分です。

初陣となるサンウルブズがどんな試合を見せるのか、マーク・ハメットヘッドコーチの初采配も気になる。トップリーグXVには、今後サンウルブズ入りが期待されるトップリーグで気を吐いている若手、そして日本代表経験者のベテランもいるだけに、簡単な試合とはならないです。

ラグビーファンの耳目を集めるサンウルブズとトップリーグXVの「真剣勝負」で、「FOR ALLチャリティーマッチ2016」は、2月13日(土)午後1:50からJ SPORTS 4で生放送されます。

梶原吉広がサンウルブズの記事をまとめてみました 1

2月26日(金)に開幕するスーパーラグビーに参戦する日本チーム“日出ずる国のオオカミたち”サンウルブズが、いよいよ日本のラグビーファンの前にその姿を見せます。2月13日(土)、愛知・豊田スタジアムで開催される「トップリーグオールスター『FOR ALLチャリティーマッチ2016』supported by バローグループ」、ヒト・コミュニケーションズサンウルブズ(以下サンウルブズ)vs.トップリーグXVの一戦です。

試合登録メンバー
※原則各チームリザーブの人数まで入替が可能。サンウルブズは、2月3日に集合してメディカルチェックなどを行った後、8日から本格的な練習を開始しました。9日には初代キャプテンにHO(フッカー)堀江翔太が指名されました。まだ練習期間は1週間にも満たないが、「サンウルブズの礎を作りたい」「数カ月をかけて、サンウルブズのスタイルを確立して戦いに挑みたい」と、将来も見据えて語っていたマーク・ハメットヘッドコーチが、初戦ではどんな指揮を執るのか注目されています。

親善試合とはいえ、サンウルブズの初戦です。先発はFW(フォワード)第1列には2015年ワールドカップメンバーのHO堀江、左PR(プロップ)稲垣啓太、そして昨年の8月末までエディー・ジャパンに在籍していた右PR垣永真之介が入ります。

LO(ロック)は帝京大学、サントリーに在籍していたティモシー・ボンドと、日本代表最多キャップ96を誇る大野均。バックローはF(フランカー)Lにアルゼンチン代表のトーマス・レオナルディ、アメリカ代表で白鴎大学出身のアンドリュー・デュルタロ、NO8(ナンバーエイト)には元レッズのエドワード・カークが入ります。

BK(バックス)の先発メンバーは、サントリーでもハーフ団を組む、日本代表SH(スクラムハーフ)日和佐篤とサモア代表SO(スタンドオフ)トゥシ・ピシがゲームをコントロールします。

CTB(センター)陣は日本代表としてワールドカップでも活躍した田村優と立川理道、WTB(ウィング)は万能BKである笹倉康誉とフィジー代表候補だったジョン・スチュワート、FB(フルバック)にはロングキックが武器で、元NTTドコモのリアン・フィルヨーンが名を連ねました。